あるものを数える【「今あるもの」のなかから希望を見いだす】

望遠鏡を覗き込む女性の横顔のシルエット
本記事では、今あるものを数える(ないものは数えない)ということの重要性をお伝えします。

手に入らないものは数えない

あなたは、「絶対に手に入らないもの」のことを考えて消耗していませんか?

ここでいう「手に入らないもの」とは、以下のようなものを指します。

  1. 失った人やペット
  2. 体の各部位(機能)
  3. 若さ
  4. 経過した時間
  5. 経歴

2の「体の各部位(機能)」については、今後の医療技術の進歩によっては、希望を見出せるかもしれませんが、ほかの項目に関しては、タイムマシンでもできない限り、得ることは難しいでしょう。

私たちが、この「手に入らないもの」について思いを巡らせた際に、ある難題が生じることがあります。

それは、「絶対に手に入らないもの」が「自分の人生に必要なもの」と感じられた場合、どのように考え、どのように行動すべきか、ということです。

端的にいうと、「どうあがいても手に入らないもの」が欲しくなったらどうすべきか、ということです。

たとえば、虫歯を放置して歯がボロボロになってしまった人が、「健康な歯が欲しい」と願っても、現代の歯科医学では入手することは難しいでしょう。

どうしても欲しいものがあるけれど、絶対に手に入らない。

このような状況に陥ったとき、必要となるのが「あるものを数える」という意識です。

以下で考えていきましょう。

手に入らないものを数えることの弊害

「手に入らないもの」を数えることには、以下のような弊害があります。

  1. メンタルに悪影響を及ぼす
  2. 生産的な行動をとれなくなる
  3. 時間の浪費につながる

メンタルに悪影響を及ぼす

「あれが欲しい→だけど手に入らない→でも欲しい」

このような思考のループに陥ってしまうことにより、メンタルは悪化の一途をたどります。

「絶対に達成されないこと」について思いを巡らす日々が続くことで、「無力感」や「絶望感」を感じやすくなってしまうのです。

このような思考に支配されている期間が長引くほどに、ストレスによる心身への悪影響は増していくと考えられます。

そのため、早急に意識を変え、心身への負担を減らしていく必要があるのです。

生産的な行動をとれなくなる

「手に入らないもの」を数える思考が身についてしまうと、生産的な行動をとりづらくなります。

前述した「無力感」や「絶望感」により、希望を見いだすことが困難な状況に陥ってしまい、結果的に怠惰な生活を送りがちになってしまうのです。

仕事や勉強といった「生産的な行動」に身が入らなくなることが、「諦めの思考」を助長してしまう可能性も考えられます。

「欲しいものが手に入らない→無力感・絶望感を感じる→生産性が低下する→諦めの思考が増強される」

上記のような「負のスパイラル」に陥らないためにも、「手に入らないもの」への意識を変えていく必要があるのです。

時間の浪費につながる

「手に入らないもの」を数えて人生をよくすることは不可能です。

むしろ、そのような時間が増えれば増えるほど、QOL(生活の質)は低下していくと考えられます。

「手に入らないもの」を数えることは時間の無駄。

このことは、いつでも思い出せるようにしておきましょう。

失ってはじめて気づく「ものの価値」

人は失ってはじめて、そのものの本当のありがたみに気づきます。

「あるのが当たり前になっていたけれど、なくなるとこんなにもつらいのか……」

誰しも、生きていれば、このような思考に至ることがあると思います。

あるのが当たり前に思えるものにこそ、多大な価値がある。

このことに気づけるか否かで、その人の思考や行動に違いが生まれます。

そして、いうまでもなく、行動の違いは人生に大きな影響を与えます。

失う前に、「当たり前のようにあるもの」の価値に気づき、大切にする。

これは、人生において、とても重要なことです。

自分にあるものを再確認する

それでは、あなたの「当たり前のようにある大切なもの」は何でしょうか。

家族や友人、丈夫な足腰、視力や聴力、時間。

ざっと思いつく限り挙げてみましょう。

そして、それらを失ったら自分はどう思うか、これまで大切にしてきたか、ということを考えてみましょう。

そうすることで、そのものの「大切さ」を再認識し、思考や行動を改善していけるようになると思います。

今あるもののなかから希望を見いだす

それでは、大切にしていたものを失ってしまったときはどうすればよいのでしょうか。

何をしていても「失ったもの」のことを考えてしまい、毎日がつらい。

このようなときに行っていただきたいのが、今あるもののなかから、「代わりとなるもの」を見つけ出し、それを心から大切にする、ということです。

人は、「手に入らないもの」を欲しているときは、視野が狭くなりがちです。

ゆえに、「あれがないと絶対にダメ」「代わりとなるものなんてない」という思考が頭のなかを覆い尽くし、結果として、絶望的な感情を抱いてしまうのです。

しかし、これまでの偏った思考や固定観念を打ち破り、広い視野をもって、柔軟に考えることができれば、案外たやすく「代わりとなるもの」は見つかるものです。

絶望的に思える状況でも、「希望の光」のひとつくらいは必ずあります。

冷静に事態を俯瞰しつつ、希望の光(代わりとなるもの)を探してみてください。

大切なものを大切にする

「大切なもの」が見つかったのなら、そのものを大切にしましょう。

大切なものが「人」なら、思いやりをもって接する。

「スキル」なら、さらなる高みを目指して磨き続ける。

「時間」なら、自分がすべきことを考え、有効に使う。

当然ながら、これらをいっときだけ行っても意味がありません。

「大切なもの」は、ブレずに、徹底的に大切にする。

このことが、「後悔の少ない人生」を歩むうえで重要になってくると思います。


望遠鏡の横で星を指差す女性の後ろ姿のシルエット
この世には、どんなに頑張っても手に入らないものは存在します。

それが、もともとは持っていたもので、「自分の非によって失ったもの」だとしたら、後悔は大きいことでしょう。

ただ、いくら悔やんだところで、そのものは戻ってきませんし、時間が巻き戻ることもありません。

ないものはない、あるのは「今あるもの」だけです。

どう転んでも、現実は変わらないのです。

この記事を読まれている方のなかには、「手に入らないもの」を数えてしまい、「生きるのがつらい」と感じている人がいるかもしれません。

そのような方こそ、「あるもの」のなかから「大切な存在」を見つけ出し、それを大切にする、という意識をもつようにしてください。

人の心は日々変化していきます。

「つらい気持ち」も必ず変化します。

長い人生において、ずっと「つらい気持ち」を抱えて生きていくことの方が困難といえるでしょう。

遠い未来、あなたが天寿を全うする直前に人生を振り返って、「あのころは○○を失ってつらかったけど、乗り越えてからは幸せだったなぁ」と思えるようになっているかもしれません。

そうなるためにも、無理せず、焦らず、「あるもの」を携えて、一歩ずつ歩んでいきましょう。