シワ・たるみの原因と対策:体の糖化と酸化を防ぎつつ、内と外から肌のコラーゲンを増やす

前後から水を浴びる美女
本記事では、シワ・たるみの原因や予防法、肌の構造、シワの種類、シワ・たるみに有効な美容成分などをお伝えします。

肌の構造

肌は外側から順に「表皮→真皮→皮下組織」という構成をしています。

表皮の奥にある真皮には、コラーゲンという繊維が網目状に張り巡らされています。

そのコラーゲンをエラスチンという繊維がつなぎ合わせて、肌のハリや弾力を保っています。

コラーゲンとエラスチンでつくられた網状構造の隙間をヒアルロン酸というゼリー状の物質が満たし、水分を保持しています。

コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸は、真皮の「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」でつくられます。

線維芽細胞は、加齢や糖化、酸化などによって機能が低下していきます(関連記事:老化の原因となる「糖化」と「酸化」)。

それにともない、コラーゲンやエラスチンが減少・変性していき、肌は薄く硬くなり、シワができやすい状態となります。

シワの種類と原因

シワにはさまざまな種類がありますが、おおまかには以下の4つに分けられます。

  1. 真皮ジワ
  2. たるみジワ
  3. 表情ジワ
  4. ちりめんジワ

真皮ジワ

真皮ジワとは、その名のとおり真皮にまで達した「深いシワ」のことです。

真皮ジワの特徴は、保湿をしても目立った改善がみられないことです。

真皮ジワは、加齢や糖化、酸化などにともなう真皮の「コラーゲンやエラスチンの減少・変性」によってできます。

たるみジワ

たるみジワは、後述する肌の「たるみ」によってできるシワです。

真皮ジワと同じく、「コラーゲンやエラスチンの減少・変性」などが主な原因です。

表情ジワ

表情ジワは、日頃の表情のクセによってできるシワです。

表情を変えた際にできるシワは一時的なものですが、繰り返されるごとに少しずつ刻まれていき、やがては表情ジワとなります。

真皮ジワやたるみジワと同様、「コラーゲンやエラスチンの減少・変性」が大きく関与しています。

ちりめんジワ

ちりめんジワとは、表皮(肌の表面)にとどまった「浅いシワ」のことを指します。

「表皮ジワ」や「小ジワ」などともよばれます。

ちりめんジワは、目元や口元にできやすく、お風呂に入った直後や、保湿をした後は目立たなくなるのが特徴です。

ちりめんジワは、乾燥や紫外線などの刺激によって、「角層の水分不足」が生じることで起きます。

たるみの原因

たるみは、真皮ジワなどと同じく、加齢や糖化、酸化などによって起きます。

これらの要因によって、真皮のコラーゲンやエラスチンのネットワークが崩れると、肌をキープできなくなり、皮膚全体が垂れ下がってきます。

その結果、目元のたるみやほうれい線、二重あご、マリオネットライン、ゴルゴ線、たるみ毛穴などが目立つようになります。

シワ・たるみの予防法

シワとたるみを予防するうえで重要となることは、以下のとおりです。

  1. 糖化と酸化を防ぐ生活を送る
  2. コラーゲンを増やす栄養素をとる
  3. 表情のクセを直す
  4. 表情筋を鍛える
  5. 日頃から適切なスキンケアを行う

糖化と酸化を防ぐ生活を送る

シワやたるみのみならず、老化現象全般および病気を予防するうえで重要となるのが、「糖化と酸化の予防」です(関連記事:老化の原因となる「糖化」と「酸化」)。

主な対策としては、次のようなものがあります。

  1. 適度な有酸素運動をする(激しい運動は逆効果)
  2. しっかりと睡眠時間を確保する(7〜7.5時間程度)
  3. 紫外線対策をする
  4. ストレスを発散する
  5. バランスの良い食事を心がける
  6. 飲酒・喫煙を控える
  7. 糖質(お米など)をとりすぎない
  8. 酸化した食品(スナック菓子など)をとりすぎない
  9. 抗酸化作用のある栄養素をとる

抗酸化作用のある栄養素

老化全般の原因(酸化の原因)となる「活性酸素」に対抗するためには、「抗酸化作用のある栄養素」をとることが重要となります。

代表的なものは以下のとおりです。

  1. ビタミンA
  2. ビタミンC
  3. ビタミンE
  4. ポリフェノール
  5. カロテノイド

抗酸化力の高いビタミンA・C・Eは、ビタミンACE(エース)とよばれる頼もしい存在です。

ビタミンA

ビタミンAは、ニンジンやほうれん草、モロヘイヤ、レバー、卵黄、うなぎなどに多く含まれています。

ビタミンAは脂溶性のビタミンのため、とりすぎた分は体に蓄積されていきます。

ゆえに、とりすぎた場合は、さまざまな過剰症が現れることがあります。

たとえば、悪心や頭痛、皮膚炎、関節や骨の痛み、頭蓋内圧の上昇(偽脳腫瘍)、浮動性めまい、昏睡などがみられ、ときには死亡することもあります。

サプリメントなどで不足分を補う場合は、食事でとる分を考慮して、慎重に摂取量を決めてください。
ビタミンC

ビタミンCは、ブロッコリー、パプリカ、芽キャベツ、レモン、オレンジ、イチゴ、サツマイモ、ジャガイモ、レンコン、カリフラワーなどに多く含まれています。

水溶性のビタミンCは、とりすぎても過剰な分は排泄されます。

とはいえ、下痢、悪心、腹部仙痛、その他の消化器症状などが現れることがあるため、ほかの栄養素と同様、適量の摂取を心がけましょう。
ビタミンE

ビタミンEは、全粒穀物、アボカド、かぼちゃ、落花生、アーモンド、大豆、オリーブオイル、うなぎなどに多く含まれています。

ビタミンAと同様、ビタミンEも脂溶性のビタミンのため、過剰摂取には気をつけてください。
ポリフェノール

ポリフェノールには、実に多くの種類があります。

代表的なものだと、豆類に含まれる「大豆イソフラボン」や、ブルーベリーやぶどう、紫いも、紫キャベツなどに含まれる「アントシアニン」、緑茶に含まれる「カテキン」などがあります。

カロテノイド

カロテノイドは、「カロテン類」と「キサントフィル類」とに分けられます。

カロテン類の代表的なものは、「β-カロテン」や「リコピン」などがあります。

キサントフィル類の代表的なものは、「ルテイン」や「アスタキサンチン」などがあります。

カロテノイドは、緑黄色野菜や果物、海藻類、甲殻類などに多く含まれています。

具体的には、ニンジン、ほうれん草、かぼちゃ、トマト、みかん、ポンカン、はっさく、マンゴー、柿、スイカ、トウモロコシ、赤とうがらし、わかめ、ひじき、サケ、エビ、イクラ、卵黄などが挙げられます。

「体の糖化と酸化を防ぐ」という意識をもって生活しているか否かで、未来のあなたの容姿やQOL(生活の質)が大きく違ってくるのは間違いありません。

できる範囲で、少しずつ生活習慣を見直していきましょう。

コラーゲンを増やす栄養素をとる

「抗酸化作用のある栄養素」にくわえて、「コラーゲンを増やす栄養素」をとることも重要となります。

コラーゲンの合成や再構築に関与する主な栄養素は、以下のとおりです。

  1. アミノ酸
  2. ビタミンC
  3. 鉄分
  4. 亜鉛
  5. ビタミンA

アミノ酸

これまで取り上げてきた「コラーゲン」はたんぱく質のひとつであり、人体のたんぱく質の約30%を占めています。

皮膚だけではなく、体のあらゆる部位(筋肉や臓器、骨、髪など)は、たんぱく質でできています。

たんぱく質は、20種類のアミノ酸で構成されているため、アミノ酸は美容と健康にとってはなくてはならない存在といえます。

アミノ酸が多く含まれている食品としては、肉や魚、卵、豆(豆製品)、乳製品などがあります。

ちなみに、コラーゲンをそのまま食べても、直接コラーゲンとして吸収・利用されることはありません。

肉や魚と同様、摂取したコラーゲンは、分解されてアミノ酸になります。

ビタミンC

コラーゲンはアミノ酸とビタミンCを材料にしてできているため、血中のビタミンC濃度が高い状態を維持するのが理想といえます。

しかし、前述したように、ビタミンCは水溶性のため、一度にたくさん摂取しても尿として排出されてしまいます。

そのため、ビタミンCをサプリメントなどで摂取する際は、1日の摂取量を一度にとるのではなく、数回に分けて、数時間おきに摂取するようにしましょう。

たとえば、1日に4粒を飲む必要のある製品の場合は、朝・昼・夕方・寝る前に1粒ずつ飲む、といった具合です。

先に述べたように、ビタミンCにはすぐれた抗酸化作用もあるため、積極的に摂取するようにしましょう。

鉄分

鉄分は、コラーゲンの合成をサポートするはたらきがあります。

「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類に分けられます。

「ヘム鉄」は吸収されやすく、「非ヘム鉄」は比較的吸収されにくい性質があります。

ヘム鉄は、肉や魚などの「動物性食品」に多く含まれ、非ヘム鉄は、野菜や豆類などの「植物性食品」に多く含まれています。

そのため、効率的に鉄分を補うには、しっかりと肉や魚を食べることが重要となります。

月経のある女性、妊娠・授乳期の女性、偏った食事をしている人、成長期の若年層などは不足しがちな栄養素なので、意識的に適量を摂取してください。

亜鉛

鉄分と同様、亜鉛もコラーゲンの合成に必要となります。

亜鉛は腸管吸収率が30%前後と低いのが特徴です。

前述したビタミンCは、亜鉛の吸収を促進するはたらきがあるため、同時に摂取するのが望ましいです。

亜鉛がもっとも多く含まれている食品は牡蠣(かき)です。

ほかにも魚や肉、豆類などにも多く含まれています。

偏った食事、過度なダイエット、ファストフード・インスタント食品の多食、飲酒、喫煙などは鉄分不足の原因となるため注意しましょう。

ビタミンA

ビタミンAは、コラーゲンの再構築に関与しています。

前述したように、ビタミンAには抗酸化作用もあるため、積極的に摂取すべき栄養素のひとつといえます。

とはいえ、くれぐれも過剰摂取には注意してください。

表情のクセを直す

表情ジワは、長年繰り返された表情によって、少しずつ刻み込まれていきます。

そのため、シワを防ぐうえで、表情のクセを直すことが重要となります。

シワは、以下のような動作やシチュエーションでできやすいです。

部位動作・シチュエーション
眉間目を細める(まぶしいとき・ものを凝視したときなど)
イライラしたとき
目をぎゅっとつぶる(目にゴミが入ったときなど)
眉毛を上げる(上を見たときなど)
ほうれい線大きな口を開ける
唇を左右に動かす
鼻をすする
笑顔
目元目をぎゅっとつぶる
笑顔

笑顔でほうれい線や目元のシワができやすくなる可能性はありますが、あまり神経質になる必要はないと思います。

なぜなら、笑顔には表情筋を鍛える効果があり、「たるみジワ」の予防になるからです。

なにより、笑顔はコミュニケーションを円滑にするうえで重要な要素であり、笑顔を封印することはQOL(生活の質)を低下させる要因となりえます。

笑顔以外の「シワになりやすい表情」を正すようにしましょう。

とはいえ、染み付いた表情のクセを直すことは、なかなか大変なことです。

あまり神経質にはならず、まずは、「険しい表情をしない」「大きなあくびをしない」などと軽く心がけることから始めるとよいでしょう。

表情筋を鍛える

加齢とともに皮膚や表情筋はたるんでいき、容姿に悪影響を及ぼします。

具体的には、たるみによる深いほうれい線ができたり、マリオネットラインができたり、口角が下がってきたり、二重あごになったりします。

これらの症状を予防するためには、普段から表情筋を鍛えておくことが重要となります。

表情筋を鍛えようとして、必要以上に口を大きく開けたり、唇を左右に動かしたり、目をぎゅっとつぶったりすると、シワを悪化させてしまうおそれがあるので注意してください。

表情筋は、「動的」に鍛えるのではなく、「静的」に鍛えるのがおすすめです。

ようは、できるだけ表情筋を動かさずにトレーニングをするということです。

そうすることで、表情ジワができるのを防ぎつつ、たるみジワを予防できます。

方法としては、次のようなものが考えられます。

予防する症状鍛える部位トレーニング内容
たるみが原因のほうれい線
マリオネットライン
頬筋周辺「オ」の口のまま笑顔をつくる
下がった口角
マリオネットライン
口輪筋周辺(口元)口笛(「ウ」の口をキープする)
二重あごオトガイ筋周辺(下あご辺り)上を向いて舌を出す

「オ」の口のまま笑顔をつくる

笑顔には頬筋を鍛える作用があるため、ほうれい線やマリオネットラインといった「たるみジワ」を予防するうえでとても有効な表情といえます。

しかし、前述した「表情ジワ」の原因となってしまう可能性があるのも事実です。

そこで、できるだけほうれい線をつくらずに頬筋を鍛える方法として、「オ」の口のまま笑顔をつくるトレーニングをおすすめします。

異様な表情にはなりますが、高い引き締め効果が期待できます。

トレーニングは鏡を見ながら行い、シワができていないかを確認しながら行うとよいでしょう。

口笛(「ウ」の口をキープする)

口笛には口周りの筋肉(口輪筋)を鍛える作用があるため、口角が下がるのを予防できます。

「ウ」の口をキープするだけでも一定の効果が期待できます。

コツとしては、ただ唇を前に突き出すのではなく、唇をすぼめて、ある程度力をいれながら行うことです。

マスクの下でもできるので、職場や電車の中などで行ってみてもよいでしょう。

上を向いて、舌を真っすぐ前に突き出す

上を向き、舌を真っすぐ前に突き出すことで、下アゴ周辺の筋肉が鍛えられ、二重あごを予防することができます。

コツとしては、舌を「ベー」と下に出すのではなく、舌を硬くして、真っすぐ前に突き出すということです。

上を向くという動作は、首を痛めやすい動きでもあるため注意しながら行いましょう。

なお、上を向かずに、舌を前に突き出すだけでも一定の効果が期待できます。

日頃から適切なスキンケアを行う

シワ・たるみを予防するには、「適切な食事」にくわえて、「適切なスキンケア」を行うことも必要です。

後述する「シワ・たるみに有効な美容成分」が含まれている化粧品を適切に使用することで、外側からもコラーゲンを増やすことができます。

また、保湿を徹底し、小ジワの発生を抑えることも重要です。

シワ・たるみに有効な美容成分

肌のコラーゲンを増やすうえで、高い効果が期待できる美容成分は以下の3つです。

  1. ビタミンC誘導体
  2. ナイアシン(ビタミンB3)
  3. レチノール

ビタミンC誘導体

前述したとおり、ビタミンCは、コラーゲンを合成する際に必須の成分です。

ほかにも、抗酸化作用や美白作用、皮脂抑制作用など、さまざまな効果が期待できる非常にすぐれた成分です。

ただし、この成分は水溶性のため、そのまま肌に塗っても吸収されません。

ビタミンC誘導体は、ビタミンCを肌に浸透しやすい形に改良したものです。

クリームなどより水に配合したほうが安定しやすい性質があるため、化粧水やジェルといったウォーターベースのものを使用するとよいでしょう。

ビタミンC誘導体には、いくつかの種類があります。

その中でも、「リン酸アスコルビル」や「パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(APPS)」は浸透力が高いのでおすすめです。

さらにビタミンC誘導体の浸透力を高めたい場合は、イオン導入器と一緒に使うとよいでしょう。

イオン導入とは、電流を利用して美容成分を皮膚に効率的に浸透させる方法です。

一説には、ビタミンC誘導体を含む化粧品とイオン導入器をセットで使用した場合、ビタミンCの浸透力は、化粧品を単体で使った場合の約20倍になるといわれています。

イオン導入は美容皮膚科などで受けられるほか、家庭用のイオン導入器を使って、自宅で行うこともできます。

おすすめの家庭用イオン導入器としては、パナソニックのEH-ST99-NやヤーマンのHRF-20などが挙げられます。

ナイアシン(ビタミンB3)

ビタミンCと同じく、ナイアシンもコラーゲンの合成を高め、肌にハリを与える作用があります。

ビタミンCや後述するレチノールよりも、肌への刺激が少ないのが特徴です。

そのため、デリケートな肌の方は、ナイアシンを配合したエイジングケア化粧品を使用されることをおすすめします。

ビタミンC誘導体と同様、ナイアシンも水溶性のため、クリームなどではなく、化粧水やジェルなどを選ぶとよいでしょう。

レチノール

ビタミンAの一種であるレチノールは、肌のターンオーバーを促進し、コラーゲンを増やす作用があります。

くわえて、シミにも効果があるとされています。

この成分は、深いシワよりも、目元などの比較的浅いシワに効果があるとされています。

肌への刺激がやや強く、人によってはカサつきなどを感じることがあるため、肌が弱い人は注意しましょう。

油溶性の成分なので、美容液やクリームなどに配合されていることが多いようです。

日光に当たると効果が弱まる性質があるため、ナイトケアに使用するとよいでしょう。

シワやたるみの改善には、「ピーリング」も効果的です。

週に1〜2回のピーリングを行うことで、肌のターンオーバーが活性化し、コラーゲンの生成が促進されます。

また、ピーリング後の肌は美容成分が浸透しやすくなります。

そのため、ピーリングの後には、レチノールやビタミンC誘導体などを配合した美容液を使うとよいでしょう。


前後から水を浴びる美女
シミと同様、一度できてしまったシワを目立たなくするのは容易なことではありません。(関連記事:シミのない肌のつくり方)。

そして、シワやたるみの予防に取り組むのが早ければ早いほど、きれいな肌でいられる期間が伸びるのは間違いありません。

お伝えしてきたとおり、シワとたるみを予防するには、生活習慣と日頃のスキンケアが重要となります。

日頃から体の糖化と酸化に気をつけつつ、適切なスキンケアを行い、いつまでもきれいな肌をキープしてください。
参考